音楽レビ 映画レビ ひとこま画像 2001年3月12日号
 
 【ブックレビュー】 著:ポータルサイト勤務 高橋明彦(27)
今週の一冊
「プラトニックセックス」
飯島愛
>>>>> 7点

少々遅きに失した感も有りますが、今回のブックレビは予想外のベストセラーとなった「飯島愛・プラトニックセックス」です。もう読んだ方はもちろんの事、興味は有るがレジに持って行くのにまだ踏ん切りが付かない、または興味は有るが読んでないと言う方(意外と多そう)へのイントロとなれば幸いです。
【あらすじ】
深夜番組・AV女優から世に出た現バラエティタレント飯島愛。その半生を自らが赤裸々な告白を交えて語る自叙伝。

さて本題に入る前に少し考えたいのが「芸能人・有名人が出す半生記」の存在理由です。「ダディ:郷ヒロミ」「梅宮アンナ」「若・貴兄弟の母親の本」等など…話題なり売れた本も多いこの分野。今回の本書に関しても「梅宮アンナ」にしても僕の胸に去来するのは「何故に自分の過去(恥)を自ら暴いて本を出すのか?」と言うことです。頭に浮ぶのは「お金」「人気が無くなって来た人の話題作り」「大いなる自慰行為」か。本書で語られる多くの事実は、常々芸能人がマスコミに叫んでる「守るべきプライバシー」であると思うのです。こんな形でプライバシーを切り売りして大金を稼ぐ…こんなのを見ると芸能が「プライバシーの尊重」を叫ぶのが矛盾してくるような気も少ししますね。

さて、前置きが長くなってしまいましたが本書「プラトニック・セックス」について。まず第一印象は…とにかく文字がでかい!という事です。明らかに1ページあたりの文字数が通常の小説の半分以下です。良く言えば目に優しいが、エコロジー的に言うなら地球に厳しく、本音で言うなら文字の大きさでページ数を稼いでると言う所ですか。。内容は子供向きじゃないのに、文字の大きさは子供向きとは…変な構成ですね。発行元が小学館だからでしょうか?(笑)

本書の評価は実は一言では言い表しづらい内容になってます。三段階に分けましょう。最初の三分の一は「怒り・あきれ」でしょうか。親に反抗し、どこまでも自分勝手に奔放な生活を送る女子中学生の日記。見ていて卒倒しそうになります(笑)次の三分の一は「感心」です。家出して男と暮らし水商売や売春での体験談を赤裸々に語っていて、内容も凄いですが…その時の飯島愛は高校生と。。正直、凄いなと感心。最期の三分の一は「おいおい」という気持ちです、ツッコミですね。確かにまだ作者が生きていて、かつ自伝である以上、恥を告白したままで終わるわけにはいかないですがね。本書のまとめは必要以上に「キレイ」に落ちが付けられていて、ちょっとした親子コントみたいでかなり苦笑してしまいます。「あの頃のお前は大変だったなー」「パパこそー」みたいな…本分よりこの部分の方が読んでて恥ずかしくなったりします(笑)

そんな本書。刺激的内容が本書の売りでしたが、なぜか読後感は意外にも「ありきたり感」が漂います。「親の無理解で非行に走る・親の暴力」「家出」「同棲」「水商売」「売春」「AV」「芸能生活」…こんな波乱万丈な話ですが、僕らはすべてフィクション世界(ドラマや映画・小説等など)で繰り返されてきたステレオタイプであるからでしょうか。まるでフィクションの三流小説を読んでいるような気にもなります。

ただ「これは彼女の体験」(話半分としても)である事、主に中学生から高校生の期間での体験談であると言うことでしょう。それだけでも真実なら稀有な体験です。「ここまでやったら逆に感心する」という気分を味わえる+普通では知りえない世界(バブルな頃の不良少女の生活)の風俗を知りえると言う意味では、貴方の興味は満たされるかもしれません。

文章量も少なくさらっと読むには興味深い内容で楽しめるかも知れない。でも、真面目な貴方は読まない方が良いかも。最初のあばれっぷり、人に責任を転嫁して非行に走るあたり…怒りで本を投げるでしょう(笑)

以上です、今週もブックレビ読んでいただきありがとうございます。なお、読んだ方は右下→裏レビものぞいていってみてください。

評者→高橋明彦(27):好きなジャンルはもっぱらミステリー。年食ってから一番印象に残った本は京極夏彦「姑獲鳥の夏」。人が死なないストー リーの本も楽しく読めるように鋭意努力中。

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読み終わった方は・・・・【裏ブックレビ】

ども、読み終わった方用レビュー「裏レビ」まで読んでいただきありがとうございます。

今回の本書は「プラトニック・セックス」と。題名からして謎の多い+話題作り+帯の台詞もとことんエロ路線と…もういかにも「売ったるぞ!」っていう姿勢が見え見えで、小学館もなれないことはしない方が良いなあと思ったりもします。

さて、内容に関して言えば、正直薄っぺらい部分が目に付くのではないでしょうか?

例えば…

「(親から10年近くぶりに電話があり)今の私には後ろめたい事は何も無い」

って、親のお金を盗んで家出して水商売やって整形してAVに出て…でも、後ろめたいことは何も無いと。また弟に「借金の返済は体を売ってでも自分でするものだ!」と説教してはいるが、彼女自身、昔のスポンサーに金を借りたまま死ぬまで踏み倒してたり、親のお金を内緒で数百万持ち逃げしたりと…矛盾していたり。

あげ足取りになってるかもしれませんが、拙い文章である事は否めないと思います。もう少しお金を払って買うなら良い本がたくさん有るのでは…とも感じてしまいますね。