音楽レビ 映画レビ ひとこま画像 2001年7月9日号
 
 【ブックレビュー】 著:ポータルサイト勤務 高橋明彦(27)

今週の一冊
「バシズム」
日本橋ヨヲコ

>>>>> 8点

知らない人がほとんどだろうか?日本橋ヨヲコさん。新進気鋭の個人的には大注目の女性漫画家です。主に週刊ヤングマガジンで過去に連載を二本ほど持っており、その頃から僕はやられてました、彼女の漫画に。今回は「バシズム」なる8つの短編を集めた短編集が発売されたという事で、皆さんにご紹介する意味でもレビューをしてみようかなと思って今回取り上げました。
【あらすじ】
ヤングマガジンで「プラスチック解体高校」「極東学園天国」の連載で人気を博した日本橋ヨヲコさんの初の短編集。美味しいとこ取り。

とにかく…漫画が嫌いじゃなければ一度読んでもらいたい。 彼女の絵はとにかく特徴的で…肉感的というか情熱的というか、すごく強弱のある線を使って人を描く。とっつきづらいかもしれないがそこはご愛嬌。一度読んで見てください、はまりますよ…って「はまる」という言い方は適切ではないかもしれない。はまるというのはベルセルクとかワンピースとかはじめの一歩とか…なにか別な漫画世界に引きずりこまれるようなイメージですが、日本橋作品はそうじゃないですね。はまると言うよりは元気付けられるというか背中を押されるというか…。

彼女の作品を薦める理由。それは漫画の力を再確認できるからです。僕は昔から漫画には小説や新聞など活字系のメディアやテレビのような動画メディアにはない力があると信じてます。端的に言えば、小林よしのりのゴーマニズム宣言を読んで初めて戦争問題や薬害エイズについて考えさせることが出来たり・・・キャプテン翼やスラムダンクを読んでサッカーやバスケを志したり…漫画には見えない力があると信じてます。 バシズム…引いては日本橋作品(連載作品の方も最高に良い)にある力は、実生活においての僕らに元気を与えてくれると思います。作品の中で何度か繰り返される登場人物たちの決意に満ちた言葉の数々。態度。行動。そして思い。劇場型の漫画というか盛り上げに関しては、情熱的な絵と相まってきっと思った以上の熱を感じる事が出来ると思います。僕はこの本を寝床に置いてココロが疲れたときに読んでます(笑)

彼女の作品の舞台設定はほとんどが学園モノです。彼女自身も学校が好きで学園モノに思い入れがあるようですが、学校という閉ざされた空間・閉ざされた時間・懐かしい場所が、また良い作品のトッピングになってるようなきがします。学校に戻りたくなりますね。

ここまでベタボメしてるのに何故か8点。気持ち的には10点×2くらい上げてもいいくらい読み込んでる作品なのですが、惜しむらくは作者自身も嘆いてる事ですが・・・極天もプラ解もヤングマガジン誌上において人気が出てきた頃に連載打ち切りが決まってしまい…中途半端な終わりになっている事です。そういう意味においてこんな良い漫画を打ち切るヤンマガの明日は長くないなと心配です。

是非、購入して愛読してみてください。弱ってるときに喝を入れたいときに…ぜひ一冊。 今週のブックレビは以上です。また再来週にお会いしましょう。

評者→高橋明彦(27):好きなジャンルはもっぱらミステリー。年食ってから一番印象に残った本は京極夏彦「姑獲鳥の夏」。人が死なないストーリーの本も楽しく読めるように鋭意努力中。

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