今週の一本
「リターナー」
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数ヶ月前に予告編を見たときは、ただのパクリ映画という印象でした。でも、それは誤解でした。この映画、究極のパクリ映画だったのです!しかも予告のナレーションは「リターナー
リターナー リターナー」と繰り返し、それはまるで「アンジェリーナ・ジョリー アンジェリーナ・ジョリー アンジェリーナ・ジョリー」「トゥームレイダー
トゥームレイダー トゥームレイダー」の予告編そのまま。予告編ですらパクリかよ。とほー。ちなみに現在はリピート無しバージョンの予告編が流れている模様。
監督、山崎貴。『ジュブナイル』はドラえもんのニセ最終回をパクった子供方面に媚びまくった作品でしたが、今回は大人向け娯楽作品に仕上がっていました。映画では『ターミネーター』『マトリックス』『M:I-2』『ET』、ゲームでは海外ゲーム『マックス・ペイン』、話からアクションからとにかくすべてパクリまくりです。オリジナリティ皆無。ここまでパクリまくった映画を私はかつて観たことがありません。ここまでやられると正直叩く気もおきません。一本の映画につき数箇所のパクリだからこそ、叩きやすいのかもしれません。
よく言えば確信犯的、でも実は単なる開き直りというか、逆によくやったと褒めてみたいというか。私は一体どうしたらいいのでしょうか。教えて。
キャスト、前世がイルカだったことで有名な金城武(好きな映画『ゴースト』、前世イルカ)。ヒロインに鈴木杏。彼女は『ヒマラヤ杉に降る雪』でその演技に絶賛を受けました。『ジュブナイル』でも一人だけ上手かったですね。今回も眼光鋭くてよかったです。岸谷五郎、樹木希林。この二人の台詞、一部聞き取りにくかったのが残念です。主要キャスト4人、上手かったです。岸谷五郎、濃い目でしたけど。
褒めるべきなのは、つぎはぎだらけのはずなのに、魅せてくれるところです。娯楽作としてよくできているんですよ。脚本の伏線も素晴らしいし、各パクリにも理由付けがなされていて悪くはない。なぜかまとまってるんですよね。これだけ取り込んだくせちゃんとした一本の映画になっているのが不思議。監督の手腕なのでしょうか。すごいです。いやすごいのか?どうなんだろ。しかもアメリカが世界配給権を買ったらしいです。邦画娯楽作品としては快挙ですよね。パクりまくってるわけですから、A級作品にはなりえない。
でも、B級の上なんですよね。なんか悔しいけど。
パクリ映画が許せない人は観ない方がいいと思います。私は予告編でゲンナリしていた分、意外性がプラスに働いたようで、娯楽作として楽しめました。だけど次はパクられる側の映画を作って下さいね。
評者→青木泰子(29):いい映画って少ないですね。年に数本見つかれば多い方。これじゃあまりに寂しい。ならば残ったダメ作品を楽しむしかない。例えダメな作品でもダメなりに楽しく紹介する、そんなレビューになればいいな。
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