今週の一本
「ボーン・アイデンティティー」
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マット・デイモン氏、来日プレミア試写会にてタレントの菊川怜さんに花束もらってました。東大出身がハーバード出身に花束贈呈…。いつも思うんですが、来日した外国人俳優への対応って間抜けなものが多いですよね。質問も「日本の女性はどうですか?」とか「日本では何を食べましたか?」とかワンパターンでつまらんものばかり。もうちょっと、何とかならんもんかね。
主演のマット・デイモンは、アクション映画初挑戦。今までは真面目な好青年の役が多かったのですが、『リプリー』で披露したピッチピチパツンパツンの海パンルックでは、なんか不自然なくらいにムキムキ感がありました。今回は更に鍛えたようで、アクションシーンでは予想を上回るキレのある動きを見せてくれます。それはもう、スティーブン・セガールを彷彿とさせるほどに。敵の骨もポキポキ折ります。ヒロインにはドイツ映画
『ラン・ローラ・ラン』で、ひたすら走る人生リセット女、ローラを演じたフランカ・ポテンテ。今回の黒髪の方が似合いますね。敵役として『遠い空の向こうに』で偏屈親父をリアルに演じたクリス・クーパーが出演。今回は偏屈CIA上官役。この人、ひょっとして偏屈キャラしかできないのでは…。
お話は、よくある記憶喪失スパイ物で、いわば『ロング・キス・グッドナイト』の男版です。しかし爆破魔レニー・ハーリンと違い、本作の監督ダグ・リーマンは、あえてハリウッド的派手さを避けているようです。アクションの派手さを売りにすることが多い昨今、この姿勢には好感が持てました。恋愛要素も抑えた感じでちょうどよい。ただ、スパイものとして緻密でリアルかというと、そうでもありません。特に、刺客たちのふがいなさはとてもプロのスパイとは思えん。大体、刺客がいきなり窓をぶち破って襲ってくるなんておかしいよ。前回レビューした『T.R.Y.』にもそんなシーンがありましたが、またです。体がビクッってなりましたよ、ビクッって。そんな観客をビクッってさせたいかね。
でも、そういった細部にこだわらなければ、それなりに楽しめる映画になっているのではないでしょうか。デイモン氏の意外な一面が見れる作品として、デイモンファンは必見かもしれません。序盤のカーチェイスシーンもなかなかのもので、故ジョン・フランケンハイマーの傑作『RONIN』のカースタントチームが担当しているそうです。
日本では「ハリウッドのジミー大西」などとひどいことを言われがちなデイモン氏ですが、アメリカでは一部で大人気です。何を隠そう、精子を提供してほしい男bPなのです。決して抱かれたい男ランキングではないというところが、悲しいかな彼の微妙なポジションを物語っています。しかし、ブラッド・ピットやジョージ・クルーニーを抑えての一位なのですから、たいしたものです。たとえそれがハーバード出身(中退)の遺伝子目当てだとしても。
評者→青木泰子(29):いい映画って少ないですね。年に数本見つかれば多い方。これじゃあまりに寂しい。ならば残ったダメ作品を楽しむしかない。例えダメな作品でもダメなりに楽しく紹介する、そんなレビューになればいいな。
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