映画レビ ブックレビ ひとこま画像 2002年10月30日号

 【隔週更新音楽レビュー】著:企画制作会社勤務 斎藤 滋(24)

今週の一曲
「またあえる日まで」
ゆず

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どの道具が欲しいですか?斎藤です。

今週はドラえもんの新しいエンディングテーマ、ゆずの「またあえる日まで」なんですが、これがイイ!

どこがそんなにイイのかって言うと、一緒に歌いたくなる、しかもできるだけ大きな声で。もう、この曲はそれに尽きます。子供向けアニメ、しかもみんな知ってる国民的アニメ「ドラえもん」の歌としても、申し分ないです。

♪自分を信じて 一歩進めば何かつかめるさ
♪少し夢を大きくして 君は一人じゃないないから


なんて、普通に考えれば、恥ずかしくて白けてしまう詞が、北川氏(丸い方)のあの声で歌われると、恥ずかしくならない。ちょっとかすれたり、鼻にかかったりして、決して上手いわけじゃない、というか、その“上手くなさそう”なところが魅力だったり。彼の声には声にケレン味がない。だから、全てのことに斜に構えてしまうぼくにも、すんなり受け入れられます。

ゆずの北川氏が書く詞は、「難しいことはよくわかんないけど、ぼくもぼくなりに色々悩んでる。でもあんまり考え込まないで、“とりあえず”歌おうぜぇ!ウォ〜♪」って感じで、すがすがしい気分にしてもらえます。でも、それ以上に魅力なのが、声なんですよ。

しかも「またあえる日まで」では、一応“コーラス“ってことになってる子供(小学生くらい)が、ほぼ全編にわたって大きな声で北川氏と一緒に歌ってます。これがまたいい。一緒に歌うことが前提に仕上がってます。

で、ここまで絶賛して、何故5点ではないのか? 声にケレン味がない、って書いたのですけど、ゆずのいい曲は、その分詞やメロディ、あと歌い方とかがちょっとヒネってあって変なんですよ。 例えば「夏色」。<駐車場の猫はあくびをしながら>とか<網戸越しの風の匂い>なんて、実際に感じたことあるようなないような、でも想像はつく微妙な、普通はあまり詞にはしないものを組み込んだり。イントロのギターのフレーズがちょっと変わってて、すごく耳に残ったり。必要以上に鼻にかけて歌っている部分があったり。

そんなわけで、国民的アニメの主題歌としての“普遍性”は高いのですが、“ゆずらしさ”の全てが出ていないので、4点とさせていただきました。 今週は以上です。

それではまた次回。

評者→斎藤 滋(24):一番好きな歌はスーパーカーの「Sunday People」。言葉で激しく主張するのではなく、メロディ、アレンジ、詞が絡み合い、全体で“何か”を伝えてくれる曲が好きです。スガシカオの人の心の動きとシチュエーションを切り取る詞も好な一方、全盛期の小沢健二の暴力的なまでのキャッチーさにもひかれたりします。

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