映画レビ ブックレビ ひとこま画像 2002年11月27日号

 【隔週更新音楽レビュー】著:企画制作会社勤務 斎藤 滋(24)

今週の一曲
「SHALL WE LOVE?」
ごまっとう

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年上と年下どっちが好きですか?斎藤です。

今回はハロープロジェクトの最強ユニットごまっとうの「SHALL WE LOVE ?」です。それにしても、娘。を卒業したばかりの後藤真希、ソロとして確実にポジションを見つけた松浦亜弥、第2のあやや狙いの藤本美貴の3人でユニット、豪華です。

♪ちょっと年下の私にも/そんなくらいわかるわよ/くだらない年上の女(オンナ)と比べないで
♪くだらない年上の女(オンナ)にもきづかないなんて

と、どうやら年上の彼を彼よりさらに年上の女にとられた歌です。

年上と年下、どっちが好きか?よくある話題ですが、ぼくは大学出るくらいまでは、年上の女の人に憧れがありあましたね。何でも知ってるぶってかっこつけるのもいいけど、教えてほしいことも沢山ある。男心だって複雑です。ただ、最終的には年上・年下って記号でしかなくて、あとはキャラクターの問題ですよね。

そして、その後の強がりが可愛い。
♪別れる別れない/好きだよ好きじゃない
♪寂しくない寂しくなんかないよ/寂しくなんかないよ/だって会いたいよこんなままじゃ嫌だよ

確かに向こうが悪いわけなんですけど、別れたくない気持ち、わかります。でもなんだかくやしいから強がってみたりして。でも本音は、もう一度会いたい。と、全体的に自分の思い出をつつかれたりして感情移入しやすい流れなのですが、詞に工夫が足りないかな。 とくに、お昼のファミレス、夜景を見たドライブウェイ、眩しい朝焼け、並んだ映画館と詞中に思い出の列記があるんですが、普遍的過ぎて、心の奥までこない。

小沢健二に「恋しくて」という同じように別れた人との思い出を語る歌があるんですが、それは
♪なぜだかよく観た映画は「シリアルママ」とか「蛇拳」とか

♪ぶどうを食べたりキムチラーメンを探して夜遅くでかけた

なんて、もう少し具体的でちょっと変わってる分、逆に"自分版"を想像しやすい。「彼女の部屋で最初に見たのは『ムーラン』だったなぁ」とか「よく浅草橋のラーメン屋行ったよなぁ」なんて。
そういう部分の作りこみが甘いのかな。

また、曲なんですが、つんくはどうやら、デスティニーチャイルドとかあのあたりのブラック系の歌モノ女の子ユニットを目指したようです。音は小刻みなブレイクビーツ中心にそれらしい仕上がりになっているんですが、メロディにパンチがありません。とくにサビが曲タイトルと同じ♪SHALL WE LOVE ?×3なんですが、弱い。「Yeah!めっちゃホリディ」の♪Yeah めっちゃホリディは、一回聞いたら忘れないですよね。そういう中毒性がない。

3人の歌唱力もまだまだ。音がわりとシンプルなので、声に迫力が求めらるのですが、弱いですね。高いところとかは普通にでているんですが、細すぎるかな、と。 と、ここまで文句を書き連ねたわけですが、点数のほうもそれなりで2点とさせていただきました。

ごまっとうの第一弾シングルは、人気者に頼りすぎちゃたかな、ってデキでした。名前である程度売ることが出来てしまいそうな分、ソロでいけるメンバーが少ない娘。ほどの作りこみや企画は不要。そんなつんくの戦略が見えた気がしました。
それはまるで自由を与えたテクニシャンの個人能力に全てを託すジーコジャパンと、詳細な戦術とそれを徹底できる選手で構成されたトルシエジャパンのようです。結果さえだしてくれれば、好みの問題でどっちでもいいんですが、今回の「SHALL WE LOVE ?」はイマイチかな。

それでは、また次回。

評者→斎藤 滋(24):一番好きな歌はスーパーカーの「Sunday People」。言葉で激しく主張するのではなく、メロディ、アレンジ、詞が絡み合い、全体で“何か”を伝えてくれる曲が好きです。スガシカオの人の心の動きとシチュエーションを切り取る詞も好な一方、全盛期の小沢健二の暴力的なまでのキャッチーさにもひかれたりします。

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