映画レビ ブックレビ ひとこま画像 2003年5月28日号

 【隔週更新音楽レビュー】著:企画制作会社勤務 斎藤 滋(25)

今週の一曲
「SUPATECH(what’s my name?)」
ZEEBRA

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 Yo! MC斎藤です。今回はモーニング娘。やミニモニとかと一緒の歌番組に出るなど、TV露出が増えてきたZEEBRAの「SUPATECH(what’s my name?)」です。

ノリなワイルドに朝が来るまで
更にヤバめなフローかますだけ
よくチェックしなよ そこのレプリカント
狙い外さねぇ 外すハズがねぇ
詞をいくつか抜き出してみたのですが、 あまりにベタ。“ハードコアラップ”然としすぎていて、本人の言葉が見つかりません。

今回の曲はパーティーチューンとのことなんですが、パーティーものに限らず、社会派ものに関しても、ZEEBRA氏の詞は、なある種一般論的というか、なにか借りものような印象を受けることが多々あります。ぼくは、これ、テレなんじゃないかな、と思っています。本人の意識・無意識は別として。
さらに邪推を続けると、日本でハードコアスタイルを貫くことの難しさみたいのを、日本のヒップホップをずっと引っ張り続けてきた彼は、実は痛いくらい感じているからなんじゃないのかなと。
「キレイなおねぇちゃんと、お楽しみタイムだぜ、ベイべー」ってテーマだったり、「アメリカの犬になるな」とか、“ハードコア”というスタイルのための“お題”に感じてしまいます。どこか第3者的というか、“ごっこ”風に感じるのはそのあたりだと思います。

ただ、サビは最高です。
♪Z the E-E the B-R-A
と自分の名前のアルファベットをコーラスともども連呼。これにはビックリしました。と、同時に、これだ!と気付いたのも事実。「MR.DYNAMITE」の時の♪一点突破ぁ〜と同じで、ここにはすごい力強さを感じます。

グイグイ過剰な自意識で押していく感じ、この部分こそがZEEBRAだと思います。こういう詞(言葉!?)であれば、思想性は関係ないから強気になれるし。

さらに、ZEEBRA氏の目指す形の一番分かりやすいのが、長渕剛だと思います。いまでもセールスポイントになっている兄貴度を高めて、彼の域までいってしまってほしい。世間にダセぇと言われようと、アツいコアなファンはガッチリついて行く。そんな“漢”(おとこ)になれそうな気がします。
そこまでいけば、ヒップホップなんて手段でしかなくなってしまうはずだから。

以上のような理由から、今回は2点とさせていただきます。それではまた、次回。ピース!

評者→斎藤 滋(25):一番好きな歌はスーパーカーの「Sunday People」。言葉で激しく主張するのではなく、メロディ、アレンジ、詞が絡み合い、全体で“何か”を伝えてくれる曲が好きです。スガシカオの人の心の動きとシチュエーションを切り取る詞も好な一方、全盛期の小沢健二の暴力的なまでのキャッチーさにもひかれたりします。

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