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 映画レビ ブックレビ ひとこま画像 2003年6月25日号

 【隔週更新音楽レビュー】著:企画制作会社勤務 斎藤 滋(25)

今週の一曲
「JOINT」
RIP SLYME

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 Yo!! DJサイトォです。
先々月のHALCALI、先月のZEEBRAと2回に1回、ヒップホップものを扱ってきましたが、今回はれらの一つのまとめということで、リップ・スッライムの「JOINT」をとりあげ、ぼくが「日本のヒップホップに期待すること」について考えてみたいと思います。

まず、今回とりあげる「JOINT」ですが、彼らのメジャーデビュー曲の「ステッパーズ・ディライト」に近いような、ノリのいいナンバーになっています。いまやちょっと懐かしいドラムン・ベースのトラックなんですが、ビート感が秀逸で、サビの歌詞で
♪マジやばいくらい いいぜ/ココ揺さぶれ ヴァイブレイション
と自らが歌うように、とても気持ちいい“ヴァイブレイション“を感じます。

さっき見ていたWOWOWの音楽番組でも、メンバーの一人(ちょっと丸い人)が「リズムとか、ビートを大事に言葉も選んでるし、ラップする時もその感じが出ればいいなと思ってやってます」と言ってました。

また、それとは別に、HALCALIの時も書いた気がするんですが、このDJFUMIYA氏は相変わらずヤリ手です。今回の「JOINT」、上にも書いたように、基本はドラムン・ベースなんですが、ポイント、ポイントにアクセントで入れる、間抜けな「できるかな」のテーマみたいな音とか、サイレンみたいな音とかがとても利いていて、妙に耳に引っかかります。こういう、“引っかかり“を作るのが得意な人のようです。

以上のように、この曲、“ノリ“で出来ていて、サビ以外の詞も、大したことを言っているわけではなく、曲の勢いを殺さないことに最大の関心が向けられている感じです。
そして、それこそが、ぼくがリップ・スライムに日本にヒップホップを託したい理由なのです。

大雑把な言い方をしてしまえば、ヒップホップとは、アメリカのスラムの黒人たちが、自己主張と闘争の方法として作り出したものです。それを、日本人が悪ぶってギャングスタ・ラップをやったところで、リアルさが決定的に欠けてしまいます。
そういう意味では、その黒人の闘争の思想性を尾崎豊的青年の主張にうまく置き換え、若者の共感をさらったドラゴン・アッシュの詞は秀逸でした。ま、彼らの魅力は詞に限らず、ツボを心得たプロデュース・ワークなわけですが。

話が横に逸れましたが、日本に持ち込まれた時点で、ヒップホップの本来的な思想部分は無くなってしまった、と言えます。であれば、「サンプリング」「ラップ」と言った、手法のみを取り入れ、そこを極めてもらいたいな、と言う思いがあります。
ポジティブな意味で、メッセージ性の無いラップこそ、日本のヒップホップの未来ではいないでしょうか。 ギャングスタものと対をなす、パーティーもの方向です。

そう考えると、ヒップホップという枠を越えそうなくらいポップで、しかも個性的なトラックを作れるDJと、「ナンだか難しいことはわかんえぇけど、俺は今楽しいんだよ。イェ〜!」という“ノリ”を殺すことなく詞を作りラップが出来るヒップホップユニットは、リップ・スライムの他にはありません。
逆に言うと、潔いほどのメッセージ性の放棄と、それ以外の部分の高いスキルこそが、リップ・スライムの魅力です。

以上のような理由から本当に勝手ながら、日本のヒップホップを背負って立って欲しいと思っているリップ・スライムの新曲は4点とさせていただきました。
確かに、オシャレな仕上がりにはなっています。ただあと一つ、ちょっと小洒落た感じが強すぎて、まだ暴力的なまでのキャッチーさが足りないかな、と思い、1点減点させていただきました。

今回は以上です。
それではまた次回。ピース!

評者→斎藤 滋(25):一番好きな歌はスーパーカーの「Sunday People」。言葉で激しく主張するのではなく、メロディ、アレンジ、詞が絡み合い、全体で“何か”を伝えてくれる曲が好きです。スガシカオの人の心の動きとシチュエーションを切り取る詞も好な一方、全盛期の小沢健二の暴力的なまでのキャッチーさにもひかれたりします。

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