移住増加の石垣島 |
沖縄県石垣島。台湾の目と鼻の先にあるこの亜熱帯の島では、ここ数年、本土からの移住者が急増している。
青い空と海、温暖な気候にあこがれて、首都圏などから島にやってくる人々がほとんどだが、突然、大挙して移住者が押しかけてきたことで、困惑も広がっている。単なる“楽園願望”だけで島に飛び込んでくる若者たちもいるからだ。石垣市では、移住の影響について、本格的な情報収集に乗り出した。
石垣市によると、住民票の異動だけを見ても、一昨年から島の転入人口は約3000人も増加している。これに、住民票を異動しないで生活をしている人も含めると、その数は5000人に達するという。「具体的な分析をしていないので、はっきりしたことは言えないが、おそらく、ほとんどが本土からの移住者だろう」と、同市企画調整室の長嶺康茂副主幹は推測する。
沖縄県全体では、同じ2年間で約5万1500人が本土から移り住んでいるが、転勤などで沖縄本島にやってきた人も多く含まれているとみられる。
石垣市の現在の人口は約4万5000人。これまではおおむね微増で推移してきたが、一昨年を境に急増を始めた。
異常とも言えるこのブームの背景には、いくつかの理由が指摘されている。そのひとつは、航空・旅行会社のPRや、雑誌の特集などで楽園イメージが広まったこと。また、周辺の八重山の島を舞台にしたテレビドラマも、人気を後押しした。都市化が進んだ沖縄本島より、手つかずの自然が多いうえ、沖縄らしさを色濃く残していることも魅力らしい。
移住してくる人たちの年齢層は幅広い。夫の定年を機にやってくる夫婦や、働き盛りの30〜40代の男性のほか、本土での就職をあきらめて、島に希望を求めてきた若者もいる。
製薬会社を退職し、昨年2月に一戸建てを購入し、大阪から移住してきた小川利一さん(57)は、「真冬でも半袖でいられるし、都会のようなストレスはまったくない。人生とは何てすばらしいんだろう、とここにきて実感しています」と話す。
一方で、「先の見えない不況に絶望した人々がやってくるケースも多い」。そう話すのは、市内にある不動産会社の男性社員だ。この社員は、移住者向けに賃貸住宅を仲介してきたが、「都会でバリバリ競争して、血道をあげるだけが人生ではない、と悟った人たちが目立つ」と指摘する。
だが、国内でも有効求人倍率が最低水準にとどまっている沖縄県の中でも、観光や農業が基幹産業である石垣市の雇用情勢は、非常に厳しく、下見もせずに安易に移住しても、就職難に見舞われるケースは少なくない。「島に渡ってくる若者の中には、仕事先もなく、苦労している人たちも多い」のだという。
思ったような仕事に就けず、「理想と違った」と不満を口にするものの、本土に戻る気力もなくし、島で放浪生活を送る若い男性もいるという。
石垣市では最近、移住が島に対してどのような影響を与えるか、調査に本腰を入れ始めた。もともと暮らしていた住民との摩擦も考えられる一方、都会のIT業界、サービス業界などに従事していた移住者たちが持っているノウハウが、「島おこし」に活用できる可能性もあるからだ。
「喜んでいいのか、それとも問題として考えなければならないのか。正直言って、どう評価していいか、はかりかねている」
長嶺副主幹は、戸惑いながら、打ち明けた。
[読売新聞(4月12日)より引用]
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「東京も沖縄も一緒」 |
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フリー調査業(弁護士補助) 田中
教之(28歳) |
ベトナム駐在時、こんな日本人がたくさんいました。日本がイヤだからと、ベトナムやってきたのはいいけど、結局仕事が出来ないから生活できない。どこで生活するにも最低限生活力がなければ、生きていけないんです。結局人間社会で生きていくんですから。
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「動ける勇気はいいけども」 |
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派遣社員 前田 智美(25歳) |
石垣島移住、多くの人が一度は考えたことがあるのではないでしょうか。私もその一人です。が。少し考えれば、沖縄で仕事が(多くは)ないというのは周知の事実。ここですぐに諦めるか、移住を決行して行き詰まるか、どちらが良いとも悪いとも言えないような。 |
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「生活力」 |
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葬儀関連派遣社員 浅羽 祐治(33歳)
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過疎の流れに逆らえば、それだけ生活力が求められます。不便さはともあれ経済は生活に直結しますから、そこで生活する知恵と能力が必要なのでしょう。Dr.コトーのように仕事があって住民と触れ合って自転車乗って…という現実はなかなか難しいのですね。
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「Paradise Is
Nowhere.」 |
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大学教員 服部 圭介(27歳)
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退職後の移住なら分かりますが、勤労世代が次の職のあてもなく移住するというのは無謀ではないでしょうか。マスコミも安易に楽園のメリットだけをアピールしすぎているのかもしれません。楽園へ行くにもそれなりの苦労と準備が必要だなんてなんと皮肉なことか。 |
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