安全性が確認できない中古家電製品などの販売安全の禁止を目的に、4月から施行される電気用品安全法(電安法)。テクノ音楽を生んだアナログシンセサイザーなども対象となり、音楽界では法の見直しを求める署名運動が展開中だ。一体、どうなっテクノ?
同法施行で、中古アナログシンセやアンプなどは、海外の厳しい審査基準をパスした良質な輸入品であっても、経済産業省登録機関の検査を経た「PSEマーク」がないと楽器店などで購入できなくなる。
「音楽家にとっては、まさに手足をもぎとられるようなものです」
こう憤るのは、世界中にテクノブームを巻き起こしたYMOの元サウンドプログラマーで日本シンセサイザー・プログラマー協会(JSPA)会長の松武秀樹さん(54)。同法の規制緩和を求める署名運動の発起人だ。
運動は、同じく発起人に名を連ねる元YMOの坂本龍一(54)からの提言がきっかけで、2月18日にJSPAのホームページ(http://www・jspa.gr.jp)上でスタート。今月5日で終了予定だが、先月末の段階ですでに5万人分近くの署名を集めた。
賛同者のひとりで、JSPA副理事長の氏家克典さん(46)は「中古楽器の販売が規制されれば、入門用の廉価品を購入したり、逆に、上級者が高級品を手に入れることもできなくなる」と、電安法が音楽愛好家の選択肢や夢を奪う可能性を懸念する。
アナログシンセはヒップホップなど最先端の音楽でも多用される。その魅力を最も強烈に印象づけたのは、なんといってもYMOだ。坂本のアープ・オデッセイやプロフィット5、松武さんのモーグIII−C…。こうした名器はバリバリの“現役”で、音楽ファンをシビれさせ続けている。
松武さんは「芸術は発想がすべて。その楽器でしか出せない音からインスピレーションを得て、いい曲や素晴らしい演奏が生まれることは多い。YMOの場合はまさにそうだったが、(電安法の施行で)そうした創作もできなくなる可能性だってある」と語る。
ミュージシャンたちの声は政府に届くのか−。
[夕刊フジ(3月3日)より引用]
|