電車内で女子高校生に痴漢行為をしたとして、強制わいせつ罪に問われた東京都内の男性会社員(43)に対し、東京高裁は8日、懲役1年6月、執行猶予3年とした東京地裁判決(05年1月)を破棄し、無罪を言い渡した。原田国男裁判長は「被害者は警察のずさんな捜査で被告を犯人と確信したに過ぎず、有罪と認定するには疑問が残る」と判断、「被告と被害者の主張を冷静に吟味していれば起訴に至らなかったのではないか」と捜査当局を批判した。
◇「有罪と認定するには疑問」…裁判長、捜査当局批判
男性は03年10月、西武新宿線の新井薬師―高田馬場駅間で、女子高校生の下着の中に手を入れたとして逮捕、起訴された。04年2月まで105日間にわたり拘束され、現在も休職している。
男性は「犯人は隣にいた別の男」と主張。弁護側は控訴審で、大きな腕時計をしていた男性が下着の中に手を入れることは不可能とする実験結果を証拠として提出した。判決は「第三者が犯人という可能性も排斥できない」と判断、「被告が受けた苦難を考えると、慎重な捜査を経たうえでの起訴が必要」と述べた。
判決後に会見した男性は「自分と家族の一生がめちゃくちゃになったが無罪が出てうれしい。判決も捜査を批判してくれたが、しっかり調べもせずに逮捕する警察のやり方は許せない」と語った。
[毎日新聞(3月8日)より引用]
|