国民の7割以上が「今の日本は危険」と認識していることが、11日公表された05年度の国土交通白書で明らかになった。新潟県中越地震や台風・大雨の大規模な自然災害に加え、JR西日本の福知山線脱線事故や耐震強度偽装事件などが相次ぎ、国民の不安が高まっていることを示した。日本の「安全神話」が崩壊しつつある現状を裏付けている。
白書をまとめた国交省は、安全・安心社会を築くためには、行政だけでなく、個人や地域、企業などが連携する必要があることを強調している。
調査は国交省が05年12月、全国の男女2000人を対象に初めて実施したもので、自然災害、事故、テロなどについて聞いた。個別面接形式で行い1314人が回答。白書は北側一雄国土交通相が11日の閣議に提出した。
「今の日本は安全か、危険か」という質問には、「危険だと思う」が28.5%、「どちらかといえば危険」は42.1%に上り、計70.6%が危険と認識している実態が明らかになった。一方、「安全」「どちらかといえば安全」は23.8%にとどまった。
危険と感じる理由では、「予想しなかった自然災害、事故、テロが発生しているから」▽「事故、テロへの対策や備えが十分ではないから」▽「事故やテロなどが将来起きる可能性が高いと思うから」などが上位になった。
今後の政策対応として、「財源や人員を安全・安心の確保に最優先で活用」する必要性を指摘する一方で、安全・安心の確保にはコストがかかる上、便利さや時間を犠牲にするとの認識を国民が持つことが重要とも指摘。行政だけの対策に限界がある点を強調した。
北側国交相は閣議後の会見で、航空機や列車などでトラブルが多発している現状について「公共交通の事業者が安全・安心確立を築くことがまず大事」と述べた。
[毎日新聞(4月11日)より引用]
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