終戦後もサハリン(樺太)に残って消息不明になり、ウクライナで暮らしていたことが分かった元陸軍兵士の上野石之助さん(83)=岩手県洋野町出身=は20日、出征した昭和18年以来63年ぶりに古里の土を踏み、弟や妹らと感激の再会を果たした。
午後2時半ごろ、JR盛岡駅に着いた上野さんは、一緒に来日した長男のアナトリーさん(37)とともに県庁へ。知事室で待っていた弟の左舘丑太郎さん(81)、妹の下城ハナエさん(75)、上野タケさん(69)の姿を見つけると歩み寄り、目を潤ませながら抱き合った。
報道陣に、弟妹と再会した気持ちを問われると、「まだ感動で、言葉が出ない」。帰国まで60年以上も要したことについては「運命だったと思う」と、通訳を通じて答えた。ウクライナでは日本語で話す相手がおらず、ほとんど話せなくなったため、「日本語の本を買って、勉強中」とも。
上野さんは滞在中、洋野町の生家で過ごし、両親の墓参をしたり、地区の歓迎会に出る予定という。
[読売新聞(4月20日)より引用]
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