世界遺産・原爆ドーム(広島市中区、高さ25メートル)からわずか100メートル先に高さ45メートルのマンションが建設されている。市民団体などが、工事計画の縮小の指導や、高さ制限をかける条例の早期制定を市に求めているが、すでに着工した建物を対象にするのは難しい。「このままでは危機遺産になってしまう」と懸念する声も上がる一方で、建設を放置した市の甘さを批判する指摘も少なくない。
危機遺産のケルン大聖堂のようになりかねない――。今月18日、ユネスコを支援する民間団体、「広島ユネスコ協会」と被爆者団体などでつくる「世界遺産『原爆ドーム』の景観を守る会」のメンバーが相次いで市役所を訪れ、報道陣に訴えた。ドイツ西部のケルン市にある同大聖堂は96年に世界遺産に登録。157メートルの双塔が特徴のゴシック建築だ。
ライン川をはさんで対岸で高層ビルの建設計画が進んだ。世界遺産を認定する世界遺産委員会は「空間的統合性が損なわれる」として、04年に危機遺産に登録した。
[朝日新聞(4月21日)より引用]
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