オウム真理教(アーレフに改称)の上祐史浩代表(43)が七月にも、信者約千六百人のうち数百人とともに脱会し、新教団を結成することが二日、公安当局の調べで分かった。上祐代表の支持派と麻原彰晃被告(51)=本名・松本智津夫、一審・死刑、控訴棄却決定=の教えを絶対視する「麻原回帰派」の対立が背景にあるとみられるが、公安当局は新教団について「『麻原隠し』を図ることで観察処分を逃れる狙いがある」と指摘し、警戒を強めている。
上祐代表は一時、教団活動の一線から退いていたが、昨年夏ごろから会合などに積極的に顔を出し、麻原被告との決別を打ち出した新路線を主張。「教団と社会との融和」を掲げ、修行の場から麻原被告の写真や教本を撤去するといった方針を打ち出してきた。
これに対し、麻原回帰派は、麻原被告の親族の後押しを受けた村岡達子元代表(56)らの集団指導体制の下、二年ほど前から上祐派と対立を深めてきた。両派は今年に入り、分裂に向けた協議を始め、先月下旬に合意した。出家信者には既に合意内容が伝えられたという。
上祐代表は分裂後の新教団の代表に就任。麻原被告と決別した形の新教義を打ち出し、東京都世田谷区の本部施設の一部や大阪市などの道場が新教団に移るとみられる。新教団の名称は決まっていない。
教団をめぐっては、一月に公安審査委員会が団体規制法に基づく観察処分の再延長を決定。また、東京高裁は三月、麻原被告の控訴棄却を決定した。
公安当局は「分裂しても教団の潜在的な危険性に変わりはない」としている。
[産経新聞(5月3日)より引用]
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