俳優の渡辺謙(46)が24日に出版する自著「誰? ―WHO AM I?」(ブックマン社)の中でC型肝炎を患っていることを明かした。1989年に発症した急性骨髄性白血病の治療で輸血を受けた際にウイルスが混じっていたと言及。東京・銀座の東映本社で23日に会見し「現在は非常にいい状態。治療は続ける」と前向きに話した。
白血病を克服してから仕事も人生も順風満帆に見えた渡辺だが、その裏では人知れず病との戦いを繰り広げていた。
進行すると肝硬変や肝がんを発症する恐れのあるC型肝炎。16年前に白血病の治療をした時の「置き土産」と著書では表現。「輸血の中にC型肝炎ウイルスが混じっていて、それが体内に残されてしまっていた」と明かしている。
02年10月の「ラスト・サムライ」のクランクイン前に感染が分かった。
一方で仕事は順調。「ラスト・サムライ」をきっかけにハリウッドにも認められて階段を上ってきたが、肝臓にさまざまな障害が出やすくなる50歳を迎える前に治療を始めることを決意。都内の病院で、昨年6月1日から「1週間に1回のインターフェロン注射、朝晩2回の飲み薬」という治療を続けてきた。
この間、ずっと支えてくれているのが昨年12月に再婚した女優の南果歩(42)だ。著書の中で結婚前は「K」という表記で登場するが、「彼女も一緒に戦闘態勢に入っている」との表現で感謝。会見でも「自分ひとりの結論より、支えの中で出した結論の方が勇気を持って実行できる」と話した。
今年2月にはC型のウイルスが陰性に転化。この状態が1年続くと「最終目的を達成することができる」そうで、「非常にいい状態をキープしています。もうしばらく治療は続けます」と穏やかな表情を見せた。
公開中の映画「明日の記憶」(監督堤幸彦)で認知症患者を演じた渡辺。これまで自身の病気について口を閉ざし、どんな病気の患者の役もあえて避けてきた。だが、「閉ざす理由が無くなった。“明日の記憶”を通して、日々を生きていくことの大切さを知り、肩の力が抜けた。勇気を持って告白したわけではないです」と渡辺。その心境の変化が筆を持たせることにもなったが、同じ病気と闘う人にも、渡辺の強い精神力は励みになりそうだ。
[スポーツニッポン(5月24日)より引用]
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