政府はジャワ島中部地震を受け国家非常事態を宣言した。8月までの緊急救援期を3カ月とし、復旧・再建完了までに1年を要するとした。復興に必要な資金は1兆ルピアという。一方、29日夜時点での死者数は5,135人となっている。
ユスフ副大統領は、28日夜の閣議後に非常事態を宣言。緊急救援期に食糧・医療・住居の供給を最優先すると語った。ロイター通信などが伝えた。
1兆ルピアの復興予定資金は今後変化する可能性があるとした上で、政府と国際社会からの支援で賄うとした。
副大統領は29日、被災者1人当たりに20万ルピアと衣服、生活必需品を支給すると発表。1世帯に12キログラムのコメ支給も行う。倒壊した自宅の補償も宣言している。
最も被害の大きかったジョクジャカルタ特別州のバントゥル県のイダム知事は、10日以内に被災者の避難、必要な場合の州外病院への移送などの救済期を終了すると語った。建物への被害を検証するには1カ月が必要との見通しを示す。損害保険会社協会(AAUI)のフランス会長は、空港やショッピングモール、オフィスビルなどが被害を受けたことから、保険額が大規模なものになる可能性が高いとの見解を示している。スマトラ沖地震被災による支払い額は2兆2,000億ルピアだったという。
被災から2日が過ぎ、インフラ面の復旧は進んでいるもようだ。アディスチプト空港が再開したほか、国営電力PLNも同州の95%の送電が回復したと明らかにしている。中部ジャワ州タンバロロック発電所を修復しながらも送電を継続するという。
2位行バンク・セントラル・アジア(BCA)は29日、ジョクジャカルタにある8支店のうち6支店の営業を継続していると発表。自動現金預払機(ATM)は80カ所のうち52カ所が稼働しているとした。州内での融資残高は3,260億ルピアとしている。
中央銀行のブルハヌディン総裁は、地震が経済成長に影響するとの見解を示した上で、「下半期に多くのことができる」として影響を最小限に抑えるように努力するとした。
政府によると、29日午後7時現在の死者数は5,135人。倒壊した建物の自宅に埋もれた遺体の腐敗による伝染病の流行も懸念されている。負傷者数は、政府発表で2,155人なものの、救援のために現地入りしている国連児童基金(ユニセフ)は2万人との予想を示し、13万人が避難しているとした。このうち4割が子どもと見られている。
ユドヨノ大統領は29日、当面の間ジョクジャカルタの大統領宮殿に執務室を移し、国政と被災者の救援の指揮を執る体制を取った。大統領は29日にも被災地を訪問。救援物資の供給は各地方首長の責務とした上で、物資の供給が遅れている地域もあると指摘した。
一方、地震により火山活動が再度活発化すると懸念されているジョクジャカルタと中部ジャワ州境のメラピ山は29日に噴煙をあげており、大規模な噴火の可能性も指摘されている。
[NNA(5月30日)より引用]
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