点数化ニュースサイト
2003年2月19日号(毎週水曜更新)

ネット集団自殺

就職難、独りは寂しい−。インターネットの自殺志願者サイトで知り合った男女3人が埼玉県入間市のアパートで心中した事件で、死亡した同市内の無職の男性(26)は昨年12月、同サイトへ「独りだと寂しいですから」と心中相手を募る書き込みをしていた。3人が知り合った「心中掲示板」は、自殺願望を持つ人同士がバーチャルの心中を繰り返すものだが、いつしか3人は仮想と現実の区別がつかなくなり、死に至る乾いた人間関係を築いてしまったようだ。

狭山署の調べでは、死亡したのは心中現場近くに住む無職の男性と千葉県船橋市の無職の女性(24)、川崎市の無職女性(22)。遺体は3人と同じサイトを通じて知り合った栃木県内の女子高生(17)が発見した。練炭の煙を吸って一酸化炭素中毒したとみられる。

遺体が見つかったアパートは2階建てで計4部屋あるが、区画整理のために取り壊しが決まり、1年以上前から無人状態だった。 3人を結び付けた「心中掲示板」は自殺願望を持つ人同士が匿名で、仮想心中を繰り返す過程を書き込むもの。死亡した男性も昨年10月と12月、「月夜・美夕」などの名前で「心中相手を探しております。方法は練炭による一酸化炭素中毒死。やっぱり、独りだと寂しいですから」と書き込んでいた。

「暗い感じで、オタクっぽい人」(近所の住民)という男性だが、「就職活動が思うようにいかない」と家族に話すなど、悩んでいたという。

「心中掲示板」の危険性について、IT評論家は「自殺志願者サイトはこれまで、自殺抑止力として働いていたが、内容が極端なものもある。ネット上だけの会話は1つの目的で強く結び付く傾向もあり、仮想と現実との区別がつかなくなる場合もある」と指摘している。

【編集長の目】
知らない同士だから非常識な誘いもできるという、ネットならではの事件。今後こういう事件は増えると思うけれど、ヒステリックなネット不要論にならずに、無料掲示板のあり方等のネット改善論を語りたいものです。ネットはもう生活の一部なんだから。


「オンライン>オフライン」
プロバイダー会社勤務 前田智美(23)
オンラインだけで話せること、見せられるもの。ネットの登場で、私たちは恐ろしく 広大な範囲で不特定多数の人と接することができるようになった。現実と非現実の区別も付かなくなってしまう程に。死ぬことが当たり前のように次の選択肢になってしまう程に。

「もったいない能力」

大学院生 服部圭介(25)

心中道具を準備し、ネットで心中相手を募集し、集まった志願者とのスケジュールを調整し、場所を下見し、相手を説得し、そして実行…。この行動力(?)を活かせば、きっと職だって見つかったはず。この力を生きる方へとは向けられなかったのが残念でならない。

「生死に触れる」

葬儀関連派遣社員 浅羽祐治(31)

昨今は死に触れることなく大人になる人が多い。祖父母、親戚などの死に深く関わることなく育つ。肉親が必死に生きようとする姿(死んでいく姿)を見ていない。葬式のみ。だから死生観が極めて甘い大人になる。仮想でなくとも、死に触れることができたはず。

「そこに愛はあるのかい?」
iモードコンテンツ勤務 斎藤 滋(24)
確かにぼくも死ぬ時に独りはイヤです。でも、ネットで出会っただけのよく知らない人と一緒に死ぬのなんか、独りも同然。ただ物理的に、隣に人間がいるだけではイヤです。ぼくは愛する人に笑顔で見送られながら死にたい。そしたら、ぼくも笑顔で死ねる、きっと。

 

ニュース関心度合計(/20)

前田★★★★
服部★★★★★
浅羽★★★★
斎藤




  週レビのルール

●週刊レビューはニュースを点数化するサイトです。一週間に起こったニュースから、考えてみたいニュースを週レビ編集長が5つピックアップし、レビュアーがそれに対して、 関心が高いニュース順に5点から1点までで、採点していきます。つまり総合点が一番高いニュースは、その週、一番考えてみたいニュースということになります。


★★★★★
★★★★
★★★★★
★★★★★
★★★★

関心高い



関心低い

※点数は持分制。
つまり二度、3点などをつけてはいけない。

<例>

項目
news1 5点 4点 9点
news2 3点 5点 8点
news3 1点 1点 2点
news4 2点 3点 5点
news5 4点 2点 6点


その他のニュース

イラク問題でヨーロッパ分裂!?
ネット集団自殺
なぜ今、本が売れない?
12億の超高級マンション発売!
市川新之助、隠し子騒動

コンテンツ
ひとこま画像
音楽レビュー
映画レビュー
ブックレビュー