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2003年3月5日号(毎週水曜更新)

携帯電話中毒「ケーチュー」

携帯電話がないと落ち着かず、イライラする。そんな女子大生が増えている。携帯電話中毒、略して「ケーチュー」。椙山女学園大学人間関係学部の加藤教授はこう呼ぶ。なぜ、携帯電話がないと不安になるのか。私たちの生活は携帯電話にどれほど依存しているのか。同学部の学生十六人はそんな疑問に答える一冊の本をまとめた。名付けて「ケータイ・ネットで新人間関係」。クスクスと笑いを誘う話、ハッとする鋭い指摘が満載で、読み出すととまらない。

加藤教授は二年間かけて、受講生から携帯電話に関するエピソードを募り、約八百人から約千例が寄せられた。学生十六人はそれらを分析し、コミュニケーション手段や出会いを携帯電話に頼った現代人の生活を浮き彫りにしようと、九章に分けて約二百例を紹介した。

恋愛編。「気になる男の子がいたけど、話しかける勇気がなかった。でも携帯電話の番号を聞いて、メールをしょっちゅう送るようになった。そうしたらお互いにひかれて。今では最愛の彼氏です」。恥ずかしくて言葉では表現できないが、文章なら素直に思いを伝えられる。そんな人が増えており、ある学生は「そのうち二人で会っていても、メールで会話するようになるかも」とギクッとするような冗談を飛ばす。

メル友編。「出会い系サイトでメル友になった男女。男性は北海道から名古屋まで女性に会いに来たが、ふられた腹いせに女性を殺してしまった。被害者は妹のちょっとした知り合いで、世間の狭さに背筋が寒くなった」。出会い系サイトがある意味で犯罪、援助交際などの温床になっていると指摘される。NTTドコモやJ−フォンは対策に乗り出すが「二人きりで会う場合は細心の注意が必要」(学生)と呼び掛ける。

イタズラ編。「高校三年の時、私の友達が立場を偽って担任の先生にメールを送った。会うことになり、友達がバラを持って名古屋駅で待つように言ったら、ずっと立っていたとか。かわいそうだけど情けない先生」。心を許して相談しているメル友が、実は友人や知人かも知れないと考えると、恐ろしい。

その他編。「なぜか、携帯が気になる。携帯が鳴るのを一日中、待っている。人から連絡がないと寂しい私たち。どうしてこんなに依存症になったのか、編集した学生は「会って話をするより、メールでやりとりする方が多い。編集作業をしてほかの人もそうなんだと実感した。便利な半面、人間関係ってそんなものかな、と疑問も感じる」と話す。

加藤教授は「携帯電話を媒体に新しい人間関係を築く若者たち。我々の世代とは価値観も人生観も違う。彼らが年配者になった時、社会はどのように変わるのか。興味深い」と話している。

本はA5判、六十九ページ。三百部印刷した。

【編集長の目】
携帯って、コミュニケーションをエンターテイメント化してますよね。人間って社会的な動物だとつくづく。様々な弊害もあるけれど、逆に言えば、人々がエンターテイメント化した人間関係に飽きた時の方が怖いです。


「携帯無による機会損失」
フリー調査業(弁護士補助) 田中教之(26)
「今何してるの?」「今から来る?」いつも幸せのきっかけはケータイからはじまる。だから、携帯をなくしたときなんて、友人を失い、お金を失い、信用を失った気分になるんです。そんな機会損失を防ぎたい!と心配になる。これも立派なケーチュー!?。

「にしてもケイチューって…」

iモードコンテンツ勤務 斉藤 滋(24)

携帯だとダイレクトにその相手と繋がるから、色々なことに気兼ねなくかけられますよね。でもそのぶん、こっちの都合に関係なく電話かかってきてムカっとくる、こっちからかける時ってあんまり気にしてないのに。そのへんの距離がまだうまくとれないですね。

「私も重症です」

プロバイダー会社勤務 前田智美(23)

携帯を紛失したときの、あの焦りといったら!失いそうな人間関係たちのため血眼で探し出したこと数回。(番号のバックアップとっておけよ)キャリア乗り換えを検討しつつも11桁のマイ番号に対する執着心が邪魔をする。重さ105gの人間関係って、何だろ。

「携帯依存者の悲しさ」
大学院生 服部圭介(25)
携帯メールのいいところ。相手の今を邪魔しないこと。これは便利だと乱用するうち、誰からも邪魔されない自分に悲しくなる。でももうメールが常識化した今や、相手を邪魔する電話はできず、メール。そしてひたすら返信待ち。こうして携帯依存に陥った私たち。

 

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