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2005年7月27日号(毎週水曜更新)

組織犯罪処罰法改正を諮問

 法務省は21日、暴力団などによる組織犯罪で、被害者が民事訴訟で取り戻しにくい犯罪収益を没収・追徴し、被害者に分配する制度を創設することを決め、南野法相が組織犯罪処罰法改正などを法制審議会(法相の諮問機関)に諮問した。
 法務省は秋に想定される臨時国会に関連法案を提出する方針だ。今回の法整備が進めば、指定暴力団山口組旧五菱会系のヤミ金融事件に関連し、スイス当局が没収した犯罪収益約51億円の被害者への一部返還も実現する見通しだ。
 現行法では、国が没収・追徴した財産は原則として国庫に帰属し、被害者に分配することができない。被害回復には、被害者が加害者相手に損害賠償請求の民事訴訟を起こすことが求められている。
 しかし、請求の相手が暴力団などだった場合、請求者が報復を恐れて提訴しないケースが目立っている。旧五菱会系ヤミ金融事件でも、訴訟を起こしている被害者はわずかだ。犯罪収益の没収・追徴が認められなければ、逆に犯人側に不当な利得をもたらすとの指摘も出ていた。
 今回の諮問要綱によると、「損害賠償請求権の行使が困難と認められるとき」に限定して、犯罪収益のうち、組織犯罪処罰法で禁じている犯罪被害財産の国による没収・追徴を可能にする。刑事裁判で「請求権の行使が困難」なケースと認定され、判決で没収・追徴された財産は、検察官が一時的に保管し、被害者からの被害申請に従って没収・追徴財産の範囲内で分配する。マネーロンダリング(資金洗浄)による組織犯罪処罰法違反で没収・追徴された時も、被害者が存在する犯罪収益なら分配の対象となる。  
 

[読売新聞(7月22日)より引用]


「当然といえば当然」
サッカー新聞社勤務 斎藤 滋(27歳)
いいことですよね。今のところ法を犯したことについてのみ、償いが必要なわけですが、それ以上に被害者に対して公的には何の償いもないのは、根本的に何か欠如している気がしますもの。これがまだ制度化されていないこと自体、問題なのかもしれません。

「恨まれる法」
葬儀関連派遣社員 浅羽 祐治(33歳)
犯罪が裁判で確定しても、被害を取り戻せないのは不条理極まりない。命や形にならないものなら別だが、失ったものがお金で、それが国庫にあるのに還ってこないというのは法を恨むしかないですね。弱者を救う良い法案だと思います。

「今まで放置ですか」

大学教員 服部 圭介(28歳)

逆に「今まで加害者がどんなに怖いお方であっても被害者自身が提訴しなきゃいけなかった」ことに驚きを隠せない。いじめられっこがなかなか先生にチクらない理由くらい今までの政治・法律家でもわかったでしょうに…。ようやく正常になったということで嬉しい限り。

「法の穴を埋める仕事」

ポータルサイト勤務 高橋 明彦(31歳)

「現行法では国が没収した財産は国のモノ。被害者に返還されない」…意外。こういうのを法のスキマって言うんだな、と。法改正って地味かもしれないけど、こういうギャップを埋めていくって凄く大事だと思います。特に法を隠れ蓑にするような人々対策を望みます。

 

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