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2005年8月24日号(毎週水曜更新)

“塀の中でも一人がいい”受刑者「懲罰」が倍増

 受刑者の増加で刑務所などの矯正施設の収容能力が追いつかない過剰収容問題が深刻化する中、雑居房の受刑者がトラブルを起こし独居房に入れられる「懲罰」の対象者数が、平成六−十六年の十年間で約二倍に膨れ上がっていることが十八日、わかった。ストレスがたまる雑居房に嫌気がさし、「罰を受けてでも独居房へ」と願う受刑者の増加が主因といい、各刑務所は対応に苦慮している。高度経済成長期以降の核家族化で、自分の部屋がある暮らしに慣れた受刑者が多くなったことが背景にあるとみられ、“塀の中”の現代人気質を如実に反映している。
 法務省矯正局によると、全国の刑務所の平均収容率は十二年に初めて100%を突破し、その後も増加傾向にある。これに比例して懲罰事例も増加し、十六年の受罰者数は全受刑者の約73%にあたる四万七千六百四十七人で、六年の受罰人員(二万二千百二人)の約二・二倍となっている。
 中でも、プライバシーが希薄な雑居房から逃れるための「故意の規則違反」とみられる懲罰事例が年々増加。大阪矯正管区管内(刑務所、拘置所など十二施設)の十六年の懲罰事例件数は約一万千五百件で、十二年の二倍近くに達している。
 このうち大阪刑務所(大阪府堺市)では、雑居房逃れの手法として「就業拒否」の事例が急増。十五年の九百六十四件に対し、翌十六年は一・六倍の千五百五十五件と過去最高に達した。
 今年も前年を上回るペースで増えており、なかには「独居房に移してくれないなら作業場へ出ない」と泣きつく受刑者も。
 このほか、雑居房から看守を大声で呼びとめ、扉を激しくたたくなどしてわざと「規律違反」を犯すケースもあるという。
 大阪刑務所では、受刑者から「寝てるときに足を踏まれた」「静かに本が読めない」「プライバシーが守られない」といった“苦情”が多く寄せられているといい、こうした不満が雑居房逃れを増幅させる要因となっているようだ。
 一方、刑務所内での暴力事件なども増加しており、大阪刑務所の幹部職員は「収容者の増加に職員の数が追いつかず、緊張感が高まっている」と不安をにじませる。
 
土本武司・白鴎大法科大学院教授(刑事法)の話
「懲罰は違反行為に一定の歯止めをかけるためのもので、それさえも利用されるとなれば、懲役刑のあり方を根本から覆すもので由々しき問題だ。ここまできたかという感がある。人権意識の高まりなど受刑者の気質の変化がそうした態度を取らせているのかもしれない。こうしたわがままを許してはならず、刑務所当局としては大きな課題を背負ったといえる」
 
≪過剰収容 年々深刻に≫
 刑務所の過剰収容問題は、近年の起訴人数の増加や刑期の長期化傾向などとあいまって、年々深刻化している。
 法務省矯正局などによると、全国で六十七カ所ある刑務所(少年刑務所を含む)の平均収容率は、平成七年の79%に対して十六年は118%に達し、理想的といわれる「80%程度」にはほど遠い。各刑務所は定員六人の雑居房を八人部屋にしたり、独居房に二段ベッドを入れ二人部屋にするなどして対応している。
 十六年版の犯罪白書は「刑務所の収容状態は過去三十−四十年間で最も厳しい状況」と指摘し、体制整備の必要性を強調している。
 受刑者は、病気など特別な事情があるケースを除いて原則的には雑居房に入るが、トラブルや規律違反を犯すなど共同生活に不適格とみなされた場合は独居房に移される。本来的には懲罰的な意味合いが込められるが、増加する「雑居房逃れ」は、あえて孤独を望む傾向が強まっていることを示している。
 

[産経新聞(8月18日)より引用]


「刑務所と共存」
フリー調査業(弁護士補助) 田中 教之(29歳)
極端な意見ですが、原則独居房にしてはいかがでしょうか?つまり、受刑態度によって、相部屋に移されるということにすれば、模範者が再犯に巻き込まれる可能性が減ると思うんです。監獄法も改正され、国民が塀の中のことを考える時期なのかもしれません。

「ステイタスの矛盾」
葬儀関連派遣社員 浅羽 祐治(33歳)
病院の大部屋と個室みたいなもので、刑務所でも独居房の方が過ごしやすいと思う。ステイタスが逆転している矛盾が生み出した現象ですね。機能しない懲罰制度を継続しても意味ないので、優秀な受刑生活者に独居房という制度に変えていくべきですよ。

「受刑者になめられる」

大学職員 石井 涼子(26歳)

受刑のあり方を考え直す必要があるのかもしれない。刑罰を受けるためにそこにいるわけで、煩わしい人間関係を逃れて、痛んだ心を休めるために刑務所があるわけではない。個室に行きたいなんて甘い考えを持てるとは、今の刑務所に怖ろしさが足りないと思う。

「もっと知るべき」

ポータルサイト勤務 高橋 明彦(31歳)

「塀の中」って実は殆ど意識してない。報道やたら盛り上がった事件も「懲役」となると、まるでドラマが終ったかのような静けさで…これってちょっとマズイかも。無関心すぎる。もっとちゃんと知って「犯した罪に対しての正しい刑の執行」と「その理解」が僕らには必要なんだと。

 

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