3月に迫ったイスラエル総選挙で続投を目指していたシャロン首相が4日、緊急入院したことは同国政界に激震となって伝わった。政治復帰は困難との見方が強く、中東和平の行方に大きな影響がでる可能性がある。
シャロン氏が旗揚げした中道政党カディマは、ヨルダン川西岸の主要なユダヤ人入植地の堅持を掲げながらも、パレスチナ独立国家の樹立を容認、国境線画定による紛争の最終決着を目指している。和平に意欲的な姿勢が、ノーベル平和賞受賞者の元首相、ペレス氏はじめ多数の国民を引きつける原動力となってきた。
シャロン氏は昨年夏、右派の反対を押し切り、38年間のパレスチナ占領史上初めてとなるガザ地区などのユダヤ人入植地撤去を断行。
米国を含む国際社会は、シャロン氏に和平の推進役を期待していただけに、今回の緊急入院という事態に衝撃を隠せない。ブッシュ米大統領は「イスラエル国民とともに憂慮を禁じ得ない。回復を祈る」といち早く懸念を表明した。
シャロン氏の個人的人気に支えられてきたカディマの勢いがそがれることは確実。パレスチナ強硬派がそろうリクードが攻勢に転じることも予想され、各党間の駆け引きが激しくなることは必至だ。
[読売新聞(1月5日)より引用]
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