「判決は何かの間違い」。連続幼女誘拐殺人事件で殺人罪などに問われ、17日に最高裁で3度目の死刑判決を受けた宮崎勤被告(43)は判決後、東京拘置所で面会した大学教授にそう語った。事件から17年余。「凶悪な犯行が社会に与えた衝撃は甚大」と最高裁判決で指摘された宮崎被告が、謝罪や反省の言葉を発することはなかった。
宮崎被告は上告審に出廷する権利も義務もなく、東京拘置所でこの日を迎えた。判決後、面会を求めた臨床心理士の長谷川博一・東海女子大教授と会った。
面会時間は15分弱。宮崎被告は、金縁めがねに白と緑のトレーナーを重ね着した格好で現れた。面会中は終始、左手でほおづえをつきながら、視線を机の上に落としたまま、感情を見せることもなく語ったという。
長谷川教授が「判決はどうなったと思うか」と聞いたところ「無罪」と断言。「実はそうではなく、死刑だよ」と伝えると「何かの間違い」と、動揺することなく答えたという。「(判決は)どこを間違えたのか」との問いには「残忍と思われたのではないか」と答え、「あなたは優しいのではないか」と聞くと「解剖はいいこと」「啓示が出た」などと説明をしたという。
また、長谷川教授は「これからどうする?」と問いかけた。答えは「何もしない」「そのうち無罪になる」。「何か要望はあるか?」と聞いたら「(文通のための)切手が欲しい」と淡々と告げたという。
長谷川教授は「判決内容には関心がない印象だった。質問にははっきり応じたが、常識では通用しない答えが多い。以前から持っていた心の障害が拘禁反応で進行しているのではないか」と語り、統合失調症の可能性を指摘した。
長谷川教授は、大阪教育大付属池田小事件の宅間守・元死刑囚と面会し謝罪の言葉を引き出した。
宮崎被告は昨年12月、拘置所で描いた27枚の絵をまとめた画集「結晶」を、インターネット上で「電子出版」した。死刑判決確定の場合、外部との手紙のやり取りが制限されることを理解し、知人らにあてた最近の手紙では、確定後は弁護士を通じて連絡を取るよう求めている。最高裁の判決文は、18日にも宮崎被告の元に届けられる。
[毎日新聞(1月18日)より引用]
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