デジタルカメラ市場が急成長を遂げる中、フィルムカメラの需要が静かな高まりをみせている。業界大手のニコンとコニカミノルタホールディングスが一月中旬、フィルムカメラ事業の縮小、全面撤退を表明したことが要因とみられる。愛好者らの駆け込み購入に金沢市内では在庫切れとなる量販店も出るなど、フィルムカメラの「さよなら特需」は今後も拡大しそうだ。
ニコンはデジタルカメラに経営資源を集中するため、二機種を除いてフィルム一眼レフカメラの生産を中止すると表明。続いて、コニカミノルタが採算悪化を理由に三月末でカメラ事業全般から撤退すると発表した。
金沢市のカメラのキタムラ元町店ではすでにフィルムカメラの在庫がなくなり、店頭には展示用のものしか残っていない状態で、「今後も入荷する望みは薄い」としている。
フィルムカメラ製造中止の影響はデジタル世代にも及んでいる。中古カメラを中心に扱う「カメラクラブ」(金沢市本江町)では、「フィルムは初めてという若者の購入が増えた」(金丸宏店長)といい、4、5万円クラスの入門機に人気が集まっている。また、ミノルタの希少なレンズなどは、インターネットを通じて鹿児島や岩手などからも問い合わせがあったという。
長年フィルムカメラで作品づくりを続ける北國写真連盟の奥野順次郎理事長は、「単に『なくなるから記念に一台』というのではなく、これを機にフィルムの魅力を見直してほしい」と話している。
[北國新聞社(2月2日)より引用]
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