野球版ワールドカップの「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」が3日、東京ドームの韓国―台湾戦を皮切りに開幕する。16カ国・地域が参加し、同日の対中国戦に臨む日本代表(王貞治監督)は初代「世界一」の座をつかめるのだろうか。
英国のブックメーカー(賭け屋)「bet365」が発表した優勝オッズ(1日現在)によると、日本代表は上から4番目の11.0倍。優勝の本命は米大リーグのデレク・ジーター内野手(ヤンキース)らを擁する米国代表と、ドミニカ共和国代表が2.5倍で並び、ベネズエラ代表が6.5倍と続く。野球評論家らの見解も「米国、ドミニカ共和国が優勝候補」で一致しており、日本はあくまでも伏兵の存在だ。
日本にとって松井秀喜外野手(ヤンキース)、井口資仁内野手(ホワイトソックス)が出場辞退したのは痛手といえる。しかし、年間最多安打記録を持つイチロー外野手(マリナーズ)、大塚晶則投手(レンジャーズ)とメジャーで経験と実績を積んだ選手がいるのは心強い。
例年この時期はオープン戦の序盤で、主力選手はまだ調整途上。日本代表の各選手はキャンプから、WBCを意識して早めに調整してきたが、まだ仕上がりにばらつきがある。イチロー外野手は「100%の状態でなければできない、というのはプロではない。たとえ70%の状態でも(役目をしっかり)やるのがプロ」とチームに刺激を与えている。
WBC公式球が大リーグでの使用球であることと、1人の投手が投げる球数が制限されるルールに、日本の投手陣が適応できるかが試合の鍵を握る。
投球数制限は、投手の肉体的負担を考慮して設定されたルール。1次リーグは65球、2次リーグが80球、準決勝と決勝が95球まで。投手が打者との対戦中に球数が制限に達した場合、その打者との対戦が終わった時点で交代させられる。
この限定ルールについて、王監督は「ルールだから仕方ないけど、真剣勝負だから投球数制限を作らないほうが良かったと思う」と語る。2月26日の練習試合に先発した渡辺俊介投手(ロッテ)は二回までに40球を費やし、「球数が多かったので焦った」と漏らすなど戸惑いもある。
また、国内のプロ野球で使用している球と比べ、WBC公式球は「表面がツルツルして滑りやすい」という意見も多い。松坂大輔投手(西武)が「球が滑ると聞いていたので、滑り止めを付けすぎ、逆に指先が球に引っかかり過ぎてしまった」と、投球の感覚をつかみ切れずにいたのが気がかりだ。
1次リーグで1位通過を狙う王監督は「短期決戦では一つのミスが命取りになる」と気を引き締め、「もちろん狙うのは世界一だが、最低でも(準決勝、決勝が行われる)サンディエゴまでは行かないといけない」と意気込んでいる。
[毎日新聞(3月2日)より引用]
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