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2006年3月22日号(毎週水曜更新)

東京高裁、取材源秘匿認める

 米国の健康食品会社への課税処分に関する報道を巡り、NHKの記者が民事裁判の証人尋問で取材源の証言を拒絶したことについて、東京高裁は17日、拒絶を正当と認めた新潟地裁決定(05年10月)を支持し、会社側の即時抗告を棄却する決定を出した。
 雛形要松(ひながたようまつ)裁判長は「報道機関が公務員に取材を行うことは、その手段、方法が相当なものである限り、正当な業務行為。取材源に(守秘義務違反など)国家公務員法違反の行為を求める結果になるとしても、ただちに取材活動が違法となることはなく、取材源秘匿の必要性が認められる」と述べた。
 同じ報道で、読売新聞記者の拒絶について東京地裁は14日、「取材源が公務員などで、守秘義務違反で刑罰に問われることが強く疑われる場合は証言拒絶を認めない」とする決定を出していたが、この日の高裁決定はこれを事実上否定した。
 高裁決定はまず「報道機関の取材活動は、民主主義の存立に不可欠な国民の『知る権利』に奉仕する報道の自由を実質的に保障するための前提となる活動」と定義。取材源が秘匿されなければ、その後の取材活動が不可能になる性質があり、民事訴訟法上の「職業の秘密」にあたるとした。民訴法は「職業の秘密に関する事項」についての尋問には証言を拒絶できると規定している。
 そのうえで「証言拒絶による裁判への影響は、取材源秘匿により保障される取材活動の持つ民主主義社会における価値に、勝るとも劣らないような社会的公共的な利益の侵害が生じると認めることは困難」と指摘した。
 食品会社側の「取材源は公務員の守秘義務違反を犯し、保護に値しない」との主張は、「取材方法の適否の判断を離れて、取材源の法違反を検討する必要はない」と退けた。
 健康食品会社とその日本法人は、日米の税務当局の調査を受けて97年に課税処分されたと日本で報じられた。会社側は信用失墜などの損害を受けたとして日本の税務当局に協力した米政府に損害賠償を求めてアリゾナ地区連邦地裁に提訴。報道した日本のマスコミ各社の記者らは国内の裁判所で嘱託尋問されていた。  
 

[毎日新聞(3月17日)より引用]


「隠し事」
葬儀関連派遣社員 浅羽 祐治(33歳)
子供の社会では嘘ついたり隠し事したりするのは悪事ですよね。それが大人の社会では権利を守るための手段になってしまう。それで誰かの悪事が闇に消えてしまうことはないのだろうか。もう子供でもないのだが、証言拒否という手段を卑怯に感じてしまう。

「暴露は正義のため?」

大学職員 石井 涼子(26歳)

守秘義務を犯してまで、広く世間に知らしめるべき事件なのか否か、情報提供者は天秤にかけ結局は暴露したと信じたい。そこに汚いお金の動きがなかったと。知る権利>守秘義務という数式が常に成り立つわけではない。この事例が絶対視されると危険な気がする。

「立場次第か?」

ポータルサイト勤務 高橋 明彦(31歳)

昔からある「取材源の秘匿」論争。確かにそこに「真実」があるなら…なんとかしたい司法の気持ちも解ります。でも取材源は記者の命。話せば職業生命が絶たれる可能性も大。おいそれと話せません。でも、犯人捕まえるタメには…うーんホント難しい問題だなぁ。。

 

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