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2007年1月10日号(毎週水曜更新)
 

フセイン元大統領死刑執行

 イラクのイスラム教シーア派住民殺害事件で死刑判決が確定したフセイン元大統領(69)を、イラク政府は30日午前6時(日本時間同日正午)ごろ、バグダッドで絞首刑に処した。24年間にわたり同国を独裁支配してきた元大統領は、03年のイラク戦争を経て「人道に対する罪」で裁かれた。米国の影響下で行われた裁判の正当性には疑問がつきまとい、旧フセイン政権を支えたイスラム教スンニ派の反発は必至だ。シーア派が主導するイラクのマリキ政権や米国は死刑執行で治安情勢が安定することを期待しているが、泥沼化している宗派間対立にいっそう拍車がかかる恐れがある。
 中東の衛星テレビ「アルアラビーヤ」によると、米軍施設に収容されていた元大統領の身柄は午前5時半ごろ、バグダッド北部カドミヤ地区の旧軍情報部施設(現イラク軍施設)でイラク政府側へ引き渡され、同施設内で死刑執行された。元大統領はイスラム教の聖典コーランを手に、ずきんの着用を拒否して絞首台に向かったという。執行や遺体の様子は国営テレビなどで放映された。
 元大統領は11月5日、イラク中部でシーア派住民148人が殺害された「ドジャイル事件」(82年)でイラク高等法廷から死刑判決を受け、今月26日に確定した。執行命令書にはマリキ首相が署名した。元大統領とともに死刑が確定していたイブラヒム元ジュネーブ国連代表部大使らは30日は執行されなかった。
 元大統領の死刑執行を受け、マリキ首相は「追放された体制(旧フセイン政権)の支持者が自らの立場を再考し、すべてのイラク人のためのイラク再建を支援するよう望む」との声明を出し、元大統領の支持母体だったバース党の残党やスンニ派武装組織に和解を求めた。
 フセイン元大統領はアラブ社会主義を掲げるバース党の要職を歴任後、79年7月に大統領に就任した。政敵を排除し、シーア派やクルド人を弾圧する恐怖政治で独裁者として君臨してきた。03年3月のイラク戦争でのバグダッド陥落(03年4月)後、同年12月に北部の故郷ティクリート近郊で潜伏しているところを米軍に拘束された。

[毎日新聞(12月30日)より引用]


「もっと言い分を」

大学院生 田中 教之(30歳)

いろんな意見があるようですが、私は執行の時期が早かったかなと思います。つまり裁判にもう少し時間をかけて、フセインの言い分を聞くべきであったということです。国民に対して「人権を守る」という新しい国家体制をPRできたのに、残念です。

「いまだ教科書の中の人」

大学職員 石井 涼子(27歳)

この死刑が正しい決断だったのかわからない。テレビやネットで知る彼の情報があまりに断片的で、一連の非道な行為が想像できないのだ。私にとってフセインは、中学の時に読んだ歴史教科書の政治家の一人のままである。そう、エリツィンやレーガンと同等なのだ。

「最後まで、独裁者」

派遣社員 山本 貴子(31歳)

彼がこの世を去った事実が、残党には終焉を告げ、シーア派やグルド人の方々には、安心を与えた事であって欲しい。誰に脅かされる事無く、安心して暮らせる日が、早く来る事を願っています。

「明日はわが身ですよ!」

印刷会社営業 高尾洋一(34歳)

何かが終わって、何かが始まったような、でもその「何か」がよく判らない…といった印象。独裁者の末路は、哀れなものですね。おとなりの“彼”は、どんな気持ちでこのニュースを聞いているのだろうか。自分だけは、そうはなるまいと思っているのだろうか。

 

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