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2003年3月19日号(毎週水曜更新)

ハリーポッターの多大な在庫

昨年10月に発売され、不況にあえぐ出版業界の“救世主”となった「ハリー・ ポッター」シリーズ第4巻「ハリー・ポッターと炎のゴブレット(上下)」(静山社、セット価3800円)。しかし、返品できないという特例的な契約のため、全国の書店にある第4巻の在庫は少なくとも約35万セットといい、過剰在庫を抱えて悲鳴を上げた書店が、他の出版社の書籍を返品するなど波紋を広げている。

第4巻の販売方法は返品を認めない代わり、注文数を必ず書店に届ける買い切り制。初版は史上最高の230万セット。11月末の6刷までで350万セットが全国の書店に販売された。

だが、年末から売り上げが落ち始めた。「注文数を完売し問題ない」という書店がある一方、追加注文し過ぎた書店は「3年でもさばききれない」など大量の在庫を抱え込む結果となった。

在庫について、静山社は「約10%の35万セット」としているが、出版ニュース社 の清田義昭社長ら「約20%の70万セット」と推定する業界関係者も多い。

「第4巻が返品できないため、在庫スペースが少なくなり、他社の書籍を返品せざるを得なくなった」というのは埼玉県内の書店主。「昨年末から返品が増え始めたが、原因は第4巻」とみる出版社も複数ある。静山社は「販売推進のためのキャンペーンを検討している」と話している。

【編集長の目】
流行り物でも店にあふれはじめると魅力が失せるのはナゼでしょう。どこの店にも山積みのハリーポッターも、ちょっと食傷気味。返品禁止の販売方法は、長い目で見るとキャラの魅力を半減さす結果になるかもしれません。


「販売戦略VS消費心」
大学職員 石井涼子(23)
シリーズものは敬遠しちゃう。買い続けると出版社側のマーケティング戦略にうまく乗せられている気がするもの。それに今回は、返品不可という出版社の強気な態度が敬遠を助長…。書店の皆様ごめんなさい。最近は続編よりハリポタパロディ版がお気に入りです。

「生兵法は怪我の元」

ソフトウェア開発会社勤務 大石 誠(28)

過剰仕入れした販売店の影には、注文数を確保できなかった(後付けでラッキーだった)販売店もあるはず。慣れない買い切り制度に在庫を抱える販売店が一見被害者に見えるけど、こうなることは最悪の結果として想像できたのでは?

「どちらが『マトモ』か?」

ポータルサイト勤務 高橋明彦(28)

書店業界って甘いなぁ…と思う。需要予測・在庫管理は小売業の初歩の初歩のハズ。よく考えると何故に「定価販売・返品可」?ぶっちゃけ過保護すぎ。これを機にマトモな商売に戻り、業界の活性化を。そうすれば…きっと本屋がもっと面白くなると思うのです。

「新たな訴訟問題」
フリー調査業(弁護士補助) 田中教之(26)
在庫が余る問題のひとつに中古書店の問題があると思うんです。新書でもすぐに中古品として出回る流通体制では、同じ本をいろんな人がまわし読みしている現状なんですね。中古ソフトの訴訟問題のような事件が起きるかもしれません。

 

ニュース関心度合計(/20)

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大石★★★★
高橋★★★★★
田中★★




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