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2005年1月26日号(毎週水曜更新)

肺がん治療薬イレッサ問題

 肺がん治療薬「ゲフィチニブ」(商品名・イレッサ)に延命効果はないとの臨床試験結果が出た問題で、厚生労働省は20日に開いた検討会で「使用を制限するなどの規制は当面必要ない」との方針を決めた。東洋人には延命効果があると見られるデータが出ていることなどが根拠。この日は副作用が疑われる死亡例が588人に達していることも報告された。欧米では使用制限の動きが進んでおり、患者の遺族などから批判が上がっている。
 検討会は、製造・販売元のアストラゼネカ社(本社・英国)が昨年末に公表した臨床試験の結果について、(1)臨床試験の対象者のうち、マレーシアやフィリピンなどの東洋人には生存期間が延長したと見られる結果が出た(2)国内では投与開始後4週間は患者を入院させるなどの安全対策が取られている(3)安全性などの点でより詳しい解析が必要――などから、現時点で使用を制限する必要性は乏しいと結論付けた。
 これに対し、群馬大大学院医学系研究科教授の堀内龍也委員は「患者の遺伝子解析を行い、危険性が低いと判断された場合だけに使用すべきだ」と主張したが、現時点で患者を制限するまでの根拠はないとして受け入れられなかった。
 イレッサは02年7月に世界に先駆けて日本で販売され、昨年末までの間に国内で推定8万6800人が使用。厚労省によると、この間に間質性肺炎などの副作用が見られたとの報告があったのは1473人。死亡者は昨年3月時点で444人だったが、100人以上増えた。死亡した2人の患者の遺族から国とア社に損害賠償を求める訴訟も起こされている。


[毎日新聞(1月20日)より引用]

【編集長の目】
このような問題は、公明正大に解決される事が望ましい。薬害エイズ問題のような前例があるだけに、厚労省と製薬会社との関係を、例え何もなかったとしても疑われるからだ。実務とは関係ないかもしれないが、公明正大さをきちんと演出して発表する事もお役所の仕事ではないだろうか。それで安心する方々だって、たくさんいるはずだ。


「楽観視か」
大学職員 石井 涼子(25歳)
肺癌はタバコ王国日本の癌死亡率1位だそう。だから売れば儲かりそうなこの薬。既に何万人も服用し危険性が指摘されながら使用停止にしない国の判断にみどり十字の文字がちらつく。製薬会社の利益と新薬の調査研究に目を奪われ楽観視されていないことを祈る。

「わからないという恐怖」
葬儀関連派遣社員 浅羽 祐治(33歳)
皆様この記事読んだ後、自分の家族にイレッサ投与を認めますか?でも「新しい薬を試してみましょう」と言われたら認めるでしょう。もしそれがイレッサでも、わからないですよね。こと医療に関しては医師に及ばない。やはり堀内教授の指摘に従うべきです。

「選択肢は多い方がいいが…」

ソフトウェア開発会社勤務 青木 泰子(31歳)

東洋人には効きやすいという臨床結果が本当ならば、使用制限する必要はないかもしれない。死が迫る病床で、「危険だけど、奇跡的に効くかもしれない薬がありますよ」と言われたら、私なら使うかも。でも、過去の厚生省の悪事を考えると全く信用できないけど。

「情報がすべてか」

フリー編集者 大塚 ゆきゑ(32歳)

ヤバいかもしれない薬でも、他に手がないとなれば使いたくなるのは当然。規制されずに済んで良かった。効果が合ったという人もいるんだし。ただし情報は必要。リスクも危険性の高さを検査できることも知った上で治療を使い分けたいもの。情報が生死をわけるんだ。

 

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