日本の大学センター試験に当たる韓国の「修学能力試験」(修能)が行われた二十三日、受験生約三十人が「携帯電話所持」で摘発され論議を呼んでいる。
韓国では、昨年の「修能」で携帯電話を使った大規模カンニング事件が発覚し、三百人以上が取り調べを受け、その後遺症で今年は金属探知機まで使って携帯持ち込みを検査した結果、携帯を持っていただけで受験資格を剥奪(はくだつ)されてしまったという。
韓国は日本に勝る学歴社会、受験大国で、「修能」は国民的関心事だ。何しろ政界、学界、経済界などエリート層約三万人のほぼ半数が名門ソウル大出身で、一流大の同期生会がモノを言う。一流大学合格はエリートへの登竜門なのだ。
父母の教育熱は高く、韓国銀行の調査では、昨年一年間の韓国国民の個人負担教育費は八兆ウォン(約八千億円)で、家計に占める教育費の割合は34・1%に上る。
受験シーズンが近づくと、「プレミアム課外授業」と名付けた有名家庭教師の実力点数表が受験生の間に出回り、人気講師の稼ぎも一カ月で一千万ウォン(約百十二万円)を下らないという。
韓国の学歴重視は、科挙(文武官の登用試験)制度が淵源ともされる。近年は特に、景気低迷の影響で若年失業率が7・2%と高いせいもあって、安定した公務員が人気で、今年のソウル市職員の試験は百十倍だった。
こんな社会背景もあり「修能」は激化の一途。昨年はカンニングのほか替え玉受験も発覚、受験犯罪を組織的に運営する“受験ブローカー”も摘発されただけに試験場での「取り締まり」も一段と厳しさを増している。
[産経新聞(11月25日)より引用]
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