米国訪問中の小泉純一郎首相(64)が、大好きなエルビス・プレスリーにどっぷり漬かった。6月30日午前、大統領専用機でテネシー州メンフィスに向かい、念願のプレスリーお宅訪問を実現した。首脳会談後の共同会見では、プレスリーの名曲「ラブ・ミー・テンダー」でスピーチを締めたり、大統領に贈られたジュークボックスからプレスリーの曲を選んで歌ったり。首相として最後の訪米は、なんともユルユルな「卒業旅行」と化している。
小泉首相は30日、日本の首相として初めて大統領専用機エアフォースワンに搭乗。ブッシュ大統領夫妻とともに、テネシー州メンフィスに到着し、プレスリーが約20年暮らした邸宅「グレースランド」に向かった。グレースランドではプレスリーの元妻プリシラさんと娘リサ・マリーさんの出迎えを受けた。小泉首相は、スーツにシャツのクールビズ姿で念願だったプレスリーの自宅見学を堪能した。
小泉首相の頭の中は、ホワイトハウスにいる時からプレスリーでいっぱいだった。日米首脳会談後にブッシュ大統領と共同会見に臨んだ際、立ち去ろうとする大統領の隣で立ち止まった。小泉首相はマイクに向かい「サンキュー・ベリー・マッチ・アメリカン・ピープル・フォー・ラブ・ミー・テンダー(米国の皆さん、私を優しく愛してくれてありがとう)」と、プレスリーの名曲を引き合いに、在任中の良好な日米関係に謝意を示した。大統領や米国人記者も爆笑。首相はしてやったりの表情で、通訳用イヤホンを外すのも忘れて立ち去ろうとした。
ブッシュ大統領も冒頭、記者団に「ドント・ビー・クルーエル(冷たくしないで)」と、プレスリーのヒット曲名を引用してあいさつする気遣いを見せた。会談前には、2人でプレスリーの曲をデュエットした。大統領が小泉首相に50〜60年代のアンティークのジュークボックスをプレゼント。プレスリーの25曲などが含まれ、首相が最も好きな「アイ・ウォント・ユー、アイ・ニード・ユー、アイ・ラブ・ユー」を発見し、一緒に歌った。首相はマウンテンバイクや電動自転車などを贈った。
盟友ブッシュ大統領の最大級のもてなしに、小泉首相はホワイトハウスでの公式夕食会で「われわれは重要な2国間関係を培ってきた」とアピールした。バンドの演奏までプレスリーの「ブルー・スエード・シューズ」で、小泉首相は顔を紅潮させて聞き入った。
首相在任中最後となる米国訪問は、首相の思い出づくりの「卒業旅行」のまま幕を閉じそうだ。
[日刊スポーツ(7月1日)より引用]
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