奈良県田原本町で母子3人が死亡した火災を巡り、殺人と現住建造物等放火容疑で高1の長男(16)が逮捕された事件で、父親の医師(47)が長男の通う高校に退学を願い出ていたことが30日、分かった。学校側は扱いを保留している。
関係者によると、父親は6月26日、自ら高校に出向き、涙ながらに退学の意向を伝えたという。事件から間もないことや、父親の心に動揺があることも予想されることから、学校側は慎重に扱いを検討しているという。
校長は毎日新聞の取材に「(退学の願いを)お受けしたが、どうするかは決定していない」と話した。決定時期も未定という。
この事件では、県警捜査本部の調べに、長男が「厳しく説教し、殴る父に憎しみを持っていた」などと動機を供述。20日に事件を起こしたことについては「保護者会で中間試験の成績が親に渡され、成績についてのうそが発覚するから」などと供述している。
父親は、医師を目指す長男を幼いころから厳しく指導。深夜遅くまで勉強につきあうほどだったが、時に暴力を交えた指導もあったという。
父子の知人は「有名大学の出身ではない父親は、医者になってから、待遇の差で苦労していた。息子に同じ思いをさせたくなかったんだろう。今回最もショックを受けたのは父親で、彼も被害者だ」と思いやった。
[毎日新聞(7月1日)より引用]
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