「銚子電鉄を救うために『ぬれ煎餅』を買おう」――ネット上でこんな運動が盛り上がっている。運行ダイヤ維持のための資金繰りに窮し、副業の「ぬれ煎餅」販売で資金を集めようと努力する千葉県のローカル線・銚子電鉄(銚子電気鉄道)を救おうと、巨大掲示板「2ちゃんねる」(2ch)のユーザーなどが次々にぬれ煎餅を購入。注文が殺到し、銚子電鉄は嬉しい悲鳴を上げている。
「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです」。11月15日夜、銚子電鉄の公式サイトトップページに、切実なメッセージが掲載された。内容は「法定検査の費用が捻出できず、来年の元日以降、現在のダイヤで運行できなくなるかもしれない。社員一同努力するが、お客様にも『ぬれ煎餅』や鉄道グッズの購入をお願いしたい」というもの。社長と従業員連名の訴えだった。
銚子電鉄は、銚子〜外川間の6.4キロを運行するローカル鉄道で、1日72本(36往復)運行している。近年は赤字続きで一時は廃線も考えたが、沿線住民からの「維持してほしい」との要望は根強く、グッズ販売などの“副業”で支えてきた。
1995年に名産の醤油を使ったぬれ煎餅(820円)販売を開始。これがヒットし、廃線の危機も乗り越えた。鉄道事業の年商約1億1000万円に対して菓子類販売はその2倍以上、2億5000万円を稼ぎ出している。
だが車両の老朽化が進み、5億円以上の設備投資が必要に。「社長を始め、社員の給料をぎりぎりまで削っても、借入金の返済に消える」という状況になった。そんな折、前社長が業務上横領の疑いで逮捕され、その借金も背負うことになりいよいよ困窮。法定点検の費用もまかなえなくなった。
点検が必要な車両は、最低でも3台。うち1台は今週中に、残りは12月初旬までに発注する必要があった。費用は1台あたり最低でも200万円。鉄道事業の集客力は一朝一夕には高められないため、素早い現金化が可能なぬれ煎餅販売に力を入れようと決め、公式サイトに15日、その旨を掲載した。
サイトで銚子電鉄の窮状を知った2ちゃんねらーが「鉄道板」を中心に支援の輪を広げ、関連する板でも伝えられていった。掲示板では、ぬれ煎餅やグッズの購入が次々と報告されているほか、販売店の情報をまとめたり、在庫のある店舗を伝えたり、銚子電鉄を応援するイラストを描いたりなど、さまざまな形で支援が行われている。
[ITmediaNews(11月21日)より引用]
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